suzume blog

Pythonを勉強中です。日々雑多なことを書いています。

左利きの彼女

彼女、といっても恋愛とかそういう話ではない。

ずっと忘れていて、なぜか先ほどふと思い出した彼女の話。

彼女、は同僚だった。

だったというのは、彼女は辞めてしまったから。

彼女は自分の1つ上の先輩だった。

自分がその部署に入った当初、かなりブラックな職場で

彼女はだいぶ疲弊していたように見えた。

初めて会った時も彼女はマスクをしており、なんというか

クールな暗い印象だった。

とにかく大変な仕事を淡々とこなしている、そんな人だった。

そして気が付いた時には彼女は会社を休職していた。

クールな印象のその裏で、彼女はキャパオーバーな仕事を

周りに甘えて助けてもらうこともできずに抱えていたのだろう。

自分は当初、直接彼女にかかわることは無かったが、

とにかくそんなイメージを受けた。

そして2年が経ち、彼女が復帰した。

相変わらず彼女はマスクで、でも初めて会った時よりは

顔つきもふっくらし、遠目でも良かったと思った。

その後、自分の業務の一部を復帰の第一歩として

お手伝いしてもらことになり少し言葉を交わした。

みな、色々気遣ったいたこともあり、彼女に対して

遠巻きで接していたためか自分が声をかけると

少し嬉しそうで、それが自分も嬉しく感じた。

とにかく真面目そうな彼女の復帰に少しでも役に立てればと

業務を手伝ってもらう際には何かしら話しかけるよう心掛けた。

彼女は業務の説明を聞く際にはきちんとメモを取っていた。

そこで彼女が左利きであることに気が付いた。

だからどう、ということはないが左利きで几帳面にメモを

取っていた姿がなぜだか心に残った。

1か月ほど自分の業務の手伝いをしてもらい、リハビリ完了

となり、彼女は本来の仕事に戻っていった。

席も遠く離れ、業務をスタートすることとなった。

業務の絡みが無くなり、席も遠くなったが、時々見る彼女は

周りと話すこともなく淡々と業務をしているように見えた。

彼女の同期が近くにいるのにあまり話しかけてあげていない

ように見えて少し歯がゆくも感じたが、当時も業務がかなり逼迫

していたので仕方なかったのだと思う。

そして、気付いたらまた彼女は休みがちになり、会社に来なくなり

そしてある日退職したことを会社の掲示板で知った。

自分には何もできなかった。

彼女があの部署にいたのはトータル1年半くらいだろうか・・

 

彼女が左利きだったことを誰か知っていただろうか?

せめて自分くらいはずっと覚えていたいと思った。