suzume blog

Pythonを勉強中です。日々雑多なことを書いています。

二人の課長

先ほど、突然すごく残酷な時代のことを思い出した。

二人の課長がいた時代。

 

大昔、銀行に勤めていた時代。自分はまだ何の役職も

ついていない、新入社員に毛が生えた程度の存在だった。

その頃、銀行の合併があり近隣の支店の統合が急遽始まった。

合併した支店の行員は人員過多となるので、しばらくすると

別の支店へ転勤となっていった。

そんな時代の一時期の話。

何が残酷かというと、通常、支店統合となる時点でどちらかの

支店の課長は転勤となるのが常であった。

しかし、たまたま自分がいた支店と合併する他支店のどちらも

大型店舗であったため、統合後も落ち着くまで2つの支店の課長が

連立する体制となった。

不思議な光景だが、同じ職階で同じ役割の課長が隣同士机を並べて

それぞれ同じ業務を行っていた。

社会人経験も、そして考えも浅かった当時の自分は特段それには

何も感じていなかった。

落ち着いたらまあ、どちらかがいなくなるのかな、くらいの気持ち。

でも、当の課長のストレスはかなりのものだったようだ。

常に品評会のように二人が周りの目にさらされて、比較されている。

どちらが仕事ができるのか。どちらが部下からの信頼が厚いのか・・

今、その彼らの年齢に近づき、社会人経験もそこそこ積んできた身

からすると、本当にいたたまれない気分だったのだろう。

そしていつその品評会が終わるとも分からない、プレッシャー。

ついに一人の課長が体調を崩し、そしてもう一人の課長が支店に

残ることとなった。

どうしても、その体調を崩した課長の送別会を行った記憶が無いので

たぶん体調を崩したまま支店を去っていったのだと思われる。

すごく優しい課長だったという。(残ったのは自分の所属していた

支店にいた課長)

優しい人、心が繊細な人だったからこそ、その残酷な状況に

耐えられなかったのではないかと思う。

でも、すごく不思議なのだが、その体調を崩していなくなった

他支店の課長の名前と顔を思い出せるのに(実質二週間ほどしか

かかわらなかったのに)、もともと自分がいた課長(残った課長)

の名前も顔も思い出せない。

色々お世話になったと思うし、間違いなくたくさんかかわりを

持ったと思うのに。

人の記憶は何を優先事項として蓄積されるのかよく分からないが、

自分の心の中で、これは忘れちゃいけない出来事、として整理

されたようだ。

そんなこと、もうあってはいけないと思いつつ、当時の銀行の

暗黒時代と比べると、今の会社の管理職のぬるま湯っぷりに

少し腹立たしい気持ちも起ってくるのである。