今日は仕事が大変だった。
連休明け、ということもあるが色々大変だった。
お昼もうっかり行けなそうだったが、優しい同僚に声をかけて
もらい、少し時間を見つけて休憩室でパパっと済ませた。
本来60分休憩の時間はあるものの、仕事も中途半端なので食べて
すぐに戻ろうとしたのであるが、ふと目の前のアパートのベランダ
に目が留まった。
ちなみに休憩室はビルの高層階であり、目の前のアパートといっても
比較的高層階だ。
とにかく、ふと見たベランダに小さな洗濯機が設置してあるのだが、
ベランダに通じる窓ガラスから手が伸びてきて、そのまま洗濯機の
扉を開け、そこから洗濯物を取り出し始めた。
手しか見えないのは少し気になるがそのうちネズミ色のTシャツを着た
男性が時々現れ、ベランダに設置してある小さな物干しざおに一枚づつ
洗濯物を干し始めた。
それならよくある話なのであるが、その洗濯物がタオルもTシャツも下着も
どれもが今実際男性が来ているネズミ色であり、汚れているのか
元からネズミ色なのかもよく分からないのであるが、とにかく干すもの
全てがネズミ色なのである。
一枚一枚広げて、一生懸命干しているのであるが、どんなに綺麗に伸ばしても
全てがネズミ色なので本当に申し訳ない表現なのであるが、遠目から見たら
雑巾を並べて干しているようにも見えるのである。
下着については少し濃いめのネズミ色だったので、他のものも含めて
彼は恐らくネズミ色が好きで全てのものを同じ色で統一している
と思われるのであるが、とにかくそれを見ていたら午前中の仕事の疲れ
や心のモヤモヤしたものがスッキリと晴れてしまった。
彼は一生懸命干しているし、恐らくネズミ色が大好きなのだ。
それはもちろん誰にも咎められることでもなく、でもそのネズミ色一色
の洗濯物の風景はとにかく無条件に面白かった。
こんな何気ないふとした日常で、人って元気になれるものなんだなと
感じたひと時であった。