suzume blog

Pythonを勉強中です。日々雑多なことを書いています。

野鳥の雛

だいぶ前になるがマンションのエレベーターの少し前の植え込み

に野鳥の巣が作られた。

何となく気になって時々覗いていたけれど、

特に物音がせず、鳥の姿も見えない時期がしばらく続いた。

そんなある日の早朝、出勤のためその巣の傍を通りがかった時に

「バタバタッ」

という明らかに普通でない音が巣の方から聞こえてきた。

どうしたのか、とその方を覗いてみると

初めて巣にいる親鳥を見つけた。

巣を覆い隠すようなはみ出た身体。

両方の羽を使ってバランスを取り、恐らく中にあるであろう

大切な卵を割らないよう気を付けている雰囲気を感じた。

そして初めてくらい至近距離で野鳥と見つめ合った。

 

野鳥は明らかに動揺していた。

これまで野鳥と触れ合う事が無かったのであるが、

目が合った時に明らかに恐怖と悲しみのような色が

浮かんでいるのを感じた。

自分は出勤なのでやむなしではあるものの、

こんなに小さな野鳥のお母さん?にものすごい恐怖を与えて

しまった事にものすごく罪悪感を感じた。

 

その場はできるだけ音を立てずにその場を立ち去った。

それ以降、その母親を巣の付近で見かける事は無かった。

もしかしたら身の危険を感じて卵を温める事をやめて

しまったのであろうか、

もしかしてあの時に驚いて卵を割ってしまったのではないか、

なんてモヤモヤしながらそれから半月くらい気にしていた。

 

ある週末の昼間。

出かけるために巣の傍を通りががると、管理人さん含め

マンションの住人達が数人通路で立ち止まっているのが見えた。

なんだろうと見てみると、

彼らの視線の先の足元の通路に野鳥の雛が鳴きながらヨチヨチと

歩いているのが見えた。

どうやら巣から落ちたか、飛ぶ練習をしているようだ。

 

小さなお子さんを連れたお母さんが管理人さんに

「この子のお母さん(鳥)はどこにいるのかしら?」

と聞いたところ、さすが、管理人さんは色々把握しているようで

「他の雛達と一緒にいると思いますよ」

と答えていた。

小さな雛は小さいながらも可愛い鳴き声を出しながら

一生懸命歩こうとしているのが見えた。

 

自分は用事があったので、その場は管理人さん達に

お任せしその場を後にしたのであったが、

とにかく雛が無事に孵った事は自分にとっても嬉しい出来事であった。

 

あれ以来、巣の付近で雛や母鳥を見かける事は無いが、最近

マンション近辺の家のアンテナに家族のような鳥のグループが

くるようになった。

もしかしたらあの巣で誕生した雛と母鳥の家族なのかもしれない。

見かけるたびに、彼らを心の中で応援している。