通勤電車での話。
自分はいつも通り座っていた朝の通勤電車。
隣の女子学生が英単語の本を読んでいた。
受験のためか一生懸命読んでいる。
今の時代、デジタル化がなんでも進んでいて、英単語の勉強も
スマホのアプリでもできる時代になったが、それでも紙の本を
読みながら勉強する姿になんだかホッとするものを感じた。
そして、ふと目の前の座席に座っているサラリーマンを見ると
なんと彼も英単語の本を読みながら勉強しているではないか。
サラリーマンといっても隣の女子生徒の父親にしては歳がいっている
たぶん55歳くらいの定年間際のおじさん的な風貌。
とても使い古した年季の入った英単語の本を一生懸命読んでいる。
なぜ離れていながら英単語と分かったかというと、古すぎて背表紙が
もう外れており、それを丸めて読んでいるのですぐに分かったのだ。
彼自身が学生時代使っていたものなのか、もう不要となった子供の
本をもらったのか。
隣の女子生徒の持っている新品同様の本と比べて、まるでおじさんの
分身のように年季が入った英単語の本を一生懸命読んでいるおじさんが、
とても可愛らしく感じた。
リカレントを声高々に言われているこの時代。
再教育しないと生きていけないぞ!食べていけないぞ!
と突然言われだしたこの世の中で。
会社からスキルアップを求められたのか。
第二の人生のために自主的に勉強しているのか。
それとも定年後に海外旅行に行くための勉強か・・・
色々想像してみたが、とにかく、女子学生とその対面上で座る
おじさんのコントラストが何とも奇妙で、そして微笑ましかった。
彼らの共通点はまるでないけれど、唯一あるのが本での英語の勉強。
デジタルな世の中でのアナログな、とても微笑ましい光景だった。