suzume blog

Pythonを勉強中です。日々雑多なことを書いています。

テスカトリポカ

今、直木賞を受賞した「テスカトリポカ」を読んでいる。

とても分厚い本で、やっと2/3くらいまできたところだ。

初めてこの本を読んだのは確か半年くらい前。

しかも最初の数ページをたまたま立ち寄った本屋さんで

立ち読みした程度。

それでも、ものすごく衝撃を受けた。

描写があまりにもむごく痛々しくて、ほとんどトラウマ級の

衝撃を受けたのだ。

その時はまさかその本を買う事になるとは思ってもみなかった

のであるが、その反面、怖いもの見たさ?のような気持ちもあり

ついこの前地元の本屋さんで売られているのを見て衝動的に

買ってしまった。

分厚いハードカバーで2000円超。

プログラミングの技術書などでそのくらいの値段の本を買う

事はよくあるが、最近小説は基本文庫本しか買わないので

なかなか痛い出費ではあった。

そして、いざ読んでみるとやはり読んでいてとても痛い。

しかし、グロテスクで残酷な描写も何度もそのような

場面を読むうちに不思議と慣れてくるのである。

残酷さは話が進むほどひどくなっていくのであるが、

それでも最初の方に出てくる信仰の話と結び付けて考えると、

その異常な行いもどこかで荘厳な儀式のように感じてくるから

人間の脳とは不思議なものである。

 

暴力的で残酷な描写は多いものの、話自体はとても面白くて

たぶんあと数日で読破してしまうとは思うが、

もしこれが映画化されても絶対観ることはないと思う。

それだけは誓える。

 

もしこんな残酷な場面を映像で実際に見てしまったら、

たぶんトラウマになると思う。

でも、頭のどこかでは分かっている。

この話は「小説」ではなくて、「現実」に起きていることなのだ。

もちろん全て事実とは言わないし、そんな事あってはならない

のであるが、自分が知らないだけで、自分の見ていないところ

ではこんな事が、いやもしかしたらもっと想像を絶するような事が

起きていてもおかしくないのである。

 

メキシコの麻薬組織や麻薬密売人、臓器売買、人道的なNPOのお面

をかぶった犯罪組織・・・

様々な暴力がビジネスという形をとり「お金」のために行われる世界。

 

この本を読んでいて色々と考えさせられることは多いが、

自分が思ったのは、どんなに今の自分に不満があったとしても、

今の時代の日本に生まれたことは、世界中から考えても

かなりラッキーな事だったのではないか、という事である。

 

生まれてすぐに、乞食としてより多くのお金を恵んでもらえる

という理由だけで手足を切られてしまう人がいるのは事実である。

それを考えただけでも、五体満足で今まで生きてこられた事に

まずは感謝しないと罰が当たるような気がするのである。