suzume blog

Pythonを勉強中です。日々雑多なことを書いています。

思考の転換

思考の転換。

それは「これまでの常識や当たり前だと思ってきたことなど、

無意識の内に前提条件としていた事柄を疑い直すことによって、

発想の転換を図る思考法です。 」

とネットに載っている。

自分の今考えていることが思考の転換という分類で合っているのか

イマイチ怪しいのであるが、少し前に一気に見方が変わった事があった。

朝の通勤電車。

自分は混雑を避けてかなり早い時間帯に乗っているので、

車両もそれほど混んでおらず、緊急事態宣言の時であったのもあってか

全員がひとまず座れる状況であった。

そこに少し、いやものすごく気になる男性が乗っていた。

何が気になるかというと、失礼ながらなんとなく全体的に気持ち悪い、

ということ。

何か大きなリュックを抱え、毎日同じ(ような)ジャケットを着、

男性なのにもじゃもじゃの髪を長く伸ばして後ろで結っている。

それでも毎朝同じ電車に乗っているのであるから、

私服可の職場に勤める人なんだと思われる。

そして彼は毎朝いつもリュックを抱き抱えて眠っているのである。

最近、比較的小ぎれいな人が多いように感じる中で

彼は間違いなく異色な雰囲気を醸し出し、彼の両隣は常に空いていた

のであるから、周りの人も自分と同じように感じていたと思われる。

しかし数週間、なんとなく彼を観察し続けて気付いたのであるが、

個性的な見た目と反対に、彼はとても静かでいつも同じ場所で常に座り、

そして駅に着いたらそっと下車していく。

こんなご時世でも鼻マスクで咳をしながら大股開けて新聞を読む

背広を着たサラリーマンなんかよりも全然無害な人なのである。

そして、ある日気が付いたのであるが、彼はいつもリュックを

抱えながら、よくよく見るとどちらかの手でリュックに入れた

何かの人形に触れていた。

それだけを聞くと「やっぱり気持ち悪い人じゃない」と言われて

しまいそうなのであるが、しかしその人形が重要で、

というか自分の中では重要で、まさしく思考の転換が生じた瞬間

だったのだが、彼が触れていたのは自分が大好きな漫画に出てくる

キャラクターの人形(というか縫いぐるみ?)なのであった。

そのキャラクターは主役ではないものの、とても良い味を出しており

どんな時も主役を支える陰のヒーロー的な役柄である。

(そして自分はそのキャラクターを一番推している)

この年で漫画について語る相手もいないので、残念なのであるが

ファンの集い?などがあれば覆面で参加したいくらい大好きな作品

なのである。

とにかく、その人形に気が付いたその日から、自分は完璧にその男性の

擁護派に変わったのである。

(もともと、彼は誰からも弾劾されていなかったのではあるが。)

髪は確かにもじゃもじゃしているが、決して匂う訳でもなく

服装もよく観察すると毎日少しづつ変えている。(ような気がする)

確かに彼の両隣はいつも空いているが、ずっと観察した結果、

確かに彼の両隣は必ず空いているが、一つ空けて人が座っている。

(本当にアブナイ人の席の近くは一つ空けても座らないと思う。)

そして何よりあのキャラクターが好きな人なのである。。。

 

という一方的かつ独断的な判断のもと、彼を温かい目で見るように

なってから、少しして彼はもうその車両に見かけなくなった。

もしかしたら職場が変わったのかもしれない。

こっそり連帯感を感じていた自分はかなり残念な気持ちもするが、

でも彼のあの風貌と人形のセットはこれからも変わらないだろう。

たぶん、別の場所でいつか彼を見かけても、きっと自分は彼だと

分かる自信がある。

ここまで人の(自分の)価値観を一変させてしまうあの漫画の

威力は絶大だなと感じた出来事だった。