生まれて初めて落語に行った。
日曜日の「笑点」もまともに見たことがないのであるが
知り合いの付き合いでいく事になった。
いざ、劇場に入ると予想以上の密に内心驚いた。
それほど大きな劇場ではないものの、ほぼ満員の状態であり
久しぶりにこんなに大勢の中に入った、という気がした。
コロナの状況になってから混雑=悪、のような認識があった
ので最初の何だかソワソワして落ち着かなかった。
どこかで咳き込む声が聞こえると少しマスクの隙間を無くす
よう形を整えたり、我ながら神経質になっていた。
席についてしばらく経つとその場にも少し慣れてきて
周りを見渡す余裕が出てきたのであるが、
自分は勝手に落語は高齢者のもの、という認識があったのだが
思っていたよりも若い人がいて驚いた。
出演者が大御所の方、という理由もあるかもしれないが
銀座の街をさっそうと歩いているような若者も結構いて
それはそれで開眼、という心持だった。
自分の隣は高齢者夫婦が座っており、コロナ対策か長年の夫婦
のせいか開演までの時間、二人は特に話をすることはなかった。
でも、いざ落語が始まると奥さんの方はマスクの下でも分かるくらい
何度も声をあげて笑っており、(初めて知ったのであるが落語は
たくさん笑わせるところがある)もちろん奥さん以外にも大勢の
お客さんが要所要所で声を上げて笑っており、映画館で静かに観る
事に慣れていた自分は落語と映画は全然違うのだな、
と認識を新たにするとともに、アナログの良さを実感したのである。
デジタル、アナログ、どちらも良いところはあるしどちらも必要
なものではあるが、たまにはネット回線ではなく人の血の通った場所
に行くのも悪くないなと思った落語体験であった。