suzume blog

Pythonを勉強中です。日々雑多なことを書いています。

極上の香り

極上の香りにするには

良い香りの中にほんの一滴の悪臭を入れる必要がある。

その一滴を探すために調香師は世界中を探し回る・・・

のかは知らないが、とにかく良い香りを作るためには

どうしようもなく、それこそ究極の悪臭を入れる必要があるらしい。

 

先日、香りを作る体験教室に行ってきた。

ベースとなる香り、アクセントとなる香り、そして悪臭の香り。

 

香りを作るので自分で好きなものを調合して良いのであるが

試しに嗅いでみた悪臭の香り(実際はちゃんと名前がある)

は本当に臭くてこんな香りがしたらみんな逃げていきそうな

香りであった。

でも先生が言うには、それを入れない事には良い香りが完成しない

とのこと。

最初にお試しで模範的な配合で調合したのだが、その時も最後に

ほんの少し、その悪臭を加えた。

調合と香りの確認を繰り返しながら香りを作っていくのであるが、

確かにその悪臭を入れる前と入れた後では全く香りのランクが

変わったのを感じた。

スパイスにするには危険過ぎる悪臭。

でも無いと、少し間の抜けたただのなんとなく良い香り。

 

自分が好きに調合する時もこわごわ悪臭を加えたみたのであるが、

まさしくその悪臭を入れた途端、なんだかとても高級な香りに

変身したのがすごく面白かった。

香りの深みが明らかに増したのだった。

 

でもこれは香りだけの話でもなく、人生の全ての事に

言えるのではないかな、なんて哲学的な事を考えてしまった。

人生における悪臭と言えるようなもの、例えば不幸な出来事。

確かにそんなものは無ければ穏やかな人生が歩めるのかもしれない。

それでも、時々出会う、「この人、すごいな」と思う人は

必ず何か大きな問題に向き合っていたり乗り越えてきたりしてきている。

人生における悪臭を抱えているのである。

ただ、反面、人も香りも悪臭の割合が高すぎると土台そのものがダメ

になってしまう。

 

人生における悪臭は香水の調合のように自分で量を減らす事は出来ないけれど、

人生の世界を大きくする事で悪臭の割合を減らす事は可能なのである。

例えば知識を付けて自身の世界を広げる、関わる人間関係を増やしてみる、

色々な価値観を受け入れる。

なかなか慣れ親しんだ自分の価値観ややり方を変えるのは難しいけれど

香りと同じように、分母を大きくする事でどんなに悪臭と思われる

事態が発生したとしても、むしろ極上の香りがする人間になれる

のではないか、

そんな事を考えた体験教室であった。